
『中村誠の資生堂 美人を創る』展と連動して、資生堂銀座ビルで開催された企画展。資生堂宣伝・デザイン部に在籍する3人のアートディレクターが、「美人像」を共通テーマとして自由なイメージを視覚化しました。凸版印刷株式会社様とのコラボレーションで、印刷技法にもこだわり、新たなグラフィック表現をそれぞれに実現しました。
[Deform & Emphasis]
美しさは演出するもの。写楽の浮世絵から現代のアニメまで、日本の美人像がデフォルメで表現されてきたことに目を付け、化粧も美しいところを強調するデフォルメだと気づいたところから、作品のアイディアを膨らませていきました。いまどきの女の子たちは、リアルとバーチャルを乗り越えたデフォルメメークで新たな自分を発見し、楽しんでいます。そこで今回の作品は、写真を縦横に伸ばして、デフォルメすることで見えてくる女性の美しさを表現。リアルすぎず人工的すぎない、資生堂ならではの美しい肌色を印刷技術によって実現させました。(志賀玲子)
[メークは、彼女の意志を語る。言語も人種も文化も、越えて。]
世界に境界がなくなり始めているグローバルな時代において、これからの美人は自分が何に属しているかではなく、どんな意志をもっているかを語るようになるだろうと想像しました。そこで、グラフィック作品では、人種も表情も異なる二人の女性のメークを写真におさめ、それぞれのバックストーリーとともに提示。映像作品では「カメラマッピング」という技法によって1枚の写真データから3Dデータを制作し、立体的に見せることで、動画と静止画の中間のような未知の視覚表現に挑戦しました。どちらの作品も、強い意志の裏にある心の揺らぎさえもメークの力で発信していく、女性の新しい在り方を予感させています。(花原正基)
[メーキャップ ライト シャドウ]
女性の素の姿は美しい。その姿を浮かび上がらせるのは、真っ白なライトと、真っ黒なシャドウ。その両方が出会って、真の輝きが生まれると考えました。撮影は東京の街の自然光のもと行い、光も影もそのまま受け入れて、正直に、懸命に、軽々と世界を越えていくような女性を描きました。光と影が、今も未来も変わらずに、美しい人の味方になってくれることを願って。(西本歩)