国内外の化粧品カウンターをリニューアル。資生堂が世界に打ち出す「グローバル」とは?

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4年に1度のリニューアルで、「先進性」を打ち出す

―スペースの設計を担当するチームに在籍される堀さんですが、今回は全世界に展開する化粧品カウンターのリニューアルを担当されたそうですね。

:はい、スペースチームには5人のメンバーが在籍していて、2013年にリニューアルオープンした資生堂銀座ビルの設計にも携わっています。今回は僕がメイン担当として、百貨店をはじめ、各国の空港にもある国内外のグローバルカウンターの、4年に一度のペースで定期的に行われるリニューアルを手がけました。

―リニューアルにあたってのコンセプトは何だったのでしょうか?

:「先進性とおもてなし」です。先進性という点では、近未来性が感じられるように、曲線のラインを強調した洗練された空間づくりをおこないました。一方で、ビューティーコンサルタントがお客さまと直接触れ合う場であることを踏まえ、近づいてみるとやわらかさを感じるようなフォルムを取り入れることで、おもてなしの心を伝えたいと考えました。また、すっきりとしたホワイト空間にブランドカラーの赤が映えるデザインにしています。

―前回から大きく変わったポイントを教えてください。

:リニューアル前のテーマは「ジャパニーズ・モダン」。和の素材を使ったり、赤を基調とした「お重」をモチーフとしていたりと、どちらかといえばしっとりとした侘び寂びを感じさせる空間でした。そこから新たな印象を感じてもらえるように、これからの主力商品となるブランド「アルティミューン」を中心に置き、商品棚のバックにLEDライトを設置して各アイテムをうっすらと光らせるなど、アクティブな印象も与えています。またこのバックライトには、お客さまのインナーパワーを引き出すといった意味も込めています。もともと、このリニューアルプランは社内コンペだったのですが、クラシックを継承するか? モダンにアップデートするか? といった議論において、先進性にこだわった僕の案が採用されました。

―世界各地に展開するカウンターとあって、資生堂ならではの「グローバル」という点はどのように意識されましたか?

:資生堂のアイデンティティーでもある「未来唐草」のモチーフを、空間内の柱など随所に取り入れました。この唐草のモチーフは資生堂銀座ビルの外観を覆うシェードにも取り入れられているのですが、そのあしらいと同様に立体的に切り抜かれていて、レイヤーの奥行きを感じられるように設計しています。

柱には「未来唐草」がデザインされている

各国の文化やニーズをリサーチして世界中をめぐる長期プロジェクト

京王百貨店 新宿店

―海外も含めたリニューアルとあっては、世界各地をめぐって休むヒマもなかったのでは?

:カウンターの改装費用は現地で采配が決まるため、一斉にリニューアルするということはありません。順を追って店舗デザインの世代交代が進み、おおよそ4年間であらかた一巡するような仕組みになっています。このリニューアルにあたっては、まず新宿の京王百貨店、そして伊勢丹新宿店からスタートしました。とはいえ、それからは地球を一周するような日々が続きます(笑)。ドバイ、中国、それからアメリカなど、月の半分は海外にいる生活になっています。空港に何日間も滞在することもあるので、ほとんどその国や地域の様子を目にしないまま帰国することも多々ありますが......。

―海外の各店舗において、苦労されることはありませんか?

:国や地域によって文化やニーズが異なるので、ときには気を遣うこともありますね。たとえば中東では女性が人前で肌を見せてはいけないといった文化があるため、専用のキャビンを作って囲いにしたり、また各地のお客さまの平均身長に合わせてイスの高低を調整しています。これらはすべて各地のスタッフからヒアリングして集めた声を反映していて、プランニング時から国際マーケティング部や美容部員らとのディスカッションを重ねているんです。

―世界中の店舗へ直接出向くことで、現在のお客さまの動向やトレンドをリサーチされることもありますか。

:外資ブランドのカウンターなどは常にチェックしていますが、どこもトレンドはめまぐるしく変化している印象です。一方、最近ではeコマースも主流になってきているので、店頭にビューティーコンサルタントが立つ意義をよく考えるようにもしています。たとえば、カウンセリングコーナーには3段階の照明を設置し、オフィスや屋外などお客さまが普段接する環境に近いライティングを演出しています。今度も様々なアイデアを取り入れながら、オリジナリティーを貫くブランドとしての発信力を高めていきたいと思っています。

グローバルブランド「SHISEIDO」 - 資生堂

Credits
Shiseido Creative Division
Creative Director
信藤 洋二
Art Director/Designer
堀 景祐
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