
--自分の顔写真がかわいい似顔絵になるスマホ限定コンテンツ「マジカルドレッサー」は、SNS上でも大きな話題になりました。このプロジェクトのきっかけは何だったんでしょうか?
酒井:11年目を迎えるマジョリカ マジョルカにおいて、今回はマジョリカ マジョルカ史上最強に"盛れる"マスカラ「ラッシュキング」のプロモーション施策でした。ラッシュキングは大ヒットを飛ばし、ラッシュエキスパンダーシリーズとともに 「マジョリカ マジョルカといえばマスカラ!」と言われるきっかけをつくった商品です。しかし、最近はファン層の年齢がブランドと共に上がってきたこともあり、ティーンエイジャーや20歳前後の若い世代への訴求が課題でした。マジョリカ マジョルカを知らない世代を巻き込むために、彼女たちの身近なスマホコンテンツから企画をスタートさせたんです。
--マジョリカ マジョルカといえば、幻想的な世界観が多くの人に愛されているブランドです。そういったこれまでのブランドイメージを変えていくような意図もあったのでしょうか?
酒井:「マジョリカ マジョルカ」という不思議なブランド名は、女の子がかわいくなるおまじないなんです。この言葉には「願えば叶う」というメッセージが込められていて、10年経った今でも変わらずその世界観を確立している、非常に希有なブランドだと思っています。 ここ最近は、白雪姫や吸血鬼のお伽話をモチーフにファンタジー性を高めて来ていましたが、ここらで一度原点に立ち返って、マジョリカ マジョルカの「魔法」を自分ゴト化させるための起爆剤を作りたいと考えたんです。魔法は遠い世界の出来事ではなく、「自分にかかるもの」なんだと言うような。それで生まれたのが、自分の顔写真を通じて、能動的に「自分」が参加できる「マジカルドレッサー」でした。
--似顔絵メーカーは人気イラストレーターmaegamimamiさんのセンスも際立っていますが、これまでのマジョリカ マジョルカの世界観とどのようにかけ合わせていったのでしょうか。
酒井:仰る通り、長年築き上げた濃厚なマジョリカ マジョルカの世界と、新規ターゲットである若い世代が好むポピュラリティーとのマッチングは非常に気を遣いましたね。「今っぽさ」の最大公約をどこに作るか? ここが極めて絶妙なさじ加減で、イラストレーターmaegamimamiさんの作家性も尊重しながら、何度も検討を重ねていきました。マジョリカ マジョルカ誕生時よりウェブサイト制作についてタッグを組んでいるBBmediaのチームのみなさんとマジョリカ マジョルカの世界観を深く共有できていることで、今回の着地場所を見つけられたように思います。
--結果として大人気コンテンツとなったわけですが、少女たちの心をとらえたポイントはどこだと思いますか?
酒井:誰の心にもある「キレイになりたい」という願望に応えたこと、写真をアップするだけで、簡単に「美少女になれる」ことでしょうか。システムの裏側をかなり細かく調整していて、顔の画像認識によって何種類かのパターンが合成され、自動でかわいい顔を作ってくれること、それにカスタマイズも可能で、まつげに"盛り"を加えたり、好きな装飾をプラスしたりすることも可能です。かわいくなった自分の似顔絵をSNSにアップすることで、新たなコミュニケーションにもつながったのではないでしょうか。
--インスタグラムでも急速に投稿数が増えていましたが、そこから何か発見はありましたか。
酒井:ユーザーの中で新しい遊びやルールが勝手に作られ始めたことが一番の驚きでしたね。有名人そっくりの似顔絵を作ってみたり、友達同士で誰かを当てるクイズにして遊んでいたりと、こちらが思ってもみない方向に発展していました。男性にもウケていたのが意外でしたね。これは今までのマジョリカ マジョルカにはなかった展開でした。マジョリカ マジョルカというブランドが持つコンセプトは、閉じられた世界ではなく、今の世代の子たちにも幅広く響くもの。今は誰でもステージに上がれるチャンスがあります。ターゲットの若い女の子達は気軽にコスプレしたり、自撮り写真を修正したり「自分プロデュース」に貪欲です。まだマジョリカ マジョルカを知らない、そんな女の子達のインサイトに響くように「自分変身メーカー」を制作したのです。マジョリカ マジョルカができることは、彼女たちの日常の生活に夢を与え、少しだけジャンプするきっかけを作ることだと思っています。