「かわいすぎる」とネットで話題! 資生堂によるメーク男子ムービー「High School Girl?」の裏側

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コンセプトは、人を美しくする「メークの楽しさ」

High School Girl? メーク女子高生のヒミツ (The Secret of High School Girls)

--男子高校生がとびきりかわいい女の子に変身するWebムービー「High School Girl? メーク女子高生のヒミツ」ですが、すでに大きな話題を呼んでいますね。企画の背景を教えていただけますか?

矢村:資生堂では若者に対するコミュニケーションがあまりできていないという課題があり、特にSNSやスマートフォンを使ったデジタルコミュニケーション領域が非常に弱かったんです。そこで、社内のコミュニケーション統括部から「実験的な動画コンテンツをつくってみよう」という話があり、新たなチームを結成しました。動画コンテンツのコンセプトは、「メークの楽しさ」。メークはさまざまな人を美しくする力を持っていて、楽しいんだというメッセージを伝える企画を宣伝・デザイン部とコミュニケーション統括部で部門の垣根を越えて考えていきました。

--男子高校生にメークをする、というアイデアはどこから生まれたのでしょう。

矢村:社内のデジタル研修で「『化粧用具』のアイラッシュカーラーをテーマにデジタルコミュニケーションを考える」というお題があり、その中で「女装男子」というアイデアがあったんです。メークの力でこんなにも人を変えることができる、というコンセプトをわかりやすく表現できるアイデアでした。それ以外にもチームで30案くらいアイデアを出し、動画の制作をお願いしたワッツ オブ トーキョーさんを含めてブラッシュアップした上で、今回のターゲットである女子高生と女子大生を集めてヒアリングの場を設けたんです。彼女たちにどの企画が面白いか、率直な意見を訊いていきました。

High School Girl? メーク女子高生のヒミツ 場面写真
High School Girl? メーク女子高生のヒミツ 場面写真
High School Girl? メーク女子高生のヒミツ 場面写真

ヒアリングから見えた、高校生たちのリアルな肌感覚

--ヒアリングを通じてどんな発見がありましたか?

矢村:文化の違いを感じましたね(笑)。メーカー目線で「若者はこうだろう」と都合よく考えてしまっていましたが、ばっさり切られたような気がします。SNSもTwitterやFacebook、LINEなど各サービスの特長を考えて人それぞれうまく使い分けていますし、投稿をシェアするときには「シェアした後に友達にどう見られるか」をすごく気にしている。そうした中で、女子高生・女子大生から「シェアしたい」という言葉が最も集まったのが「女装男子」だったんです。ポイントは、彼女たちの同世代の男の子たちが出演すること。有名人ではなく、友達の友達が出演しているようなリアルさがシェアしたくなるんだということがわかりました。

--そのリアルさを追求して、モデルやタレントではなく一般の高校生を起用されているんですね。

矢村:はい。高校生向けのストリートスナップ雑誌『HR(エイチアール)』編集部に協力を仰ぎ、過去に誌面に掲載された現役高校生に募集をかけました。メークが似合いそうな子が第一条件だったのですが、それぞれのキャラクターも大事にしようと、プロフィールも念入りにヒアリングしましたね。サッカー部の選手だったり、女兄弟に囲まれた家族環境だったり、今回の役どころも彼ら一人ひとりの個性を考慮して設定されています。

出演した高校生たちのオフショット
出演した高校生たちのオフショット

「資生堂の本気」を見せた、逆再生一発撮りのメークシーン

カメラワークのイメージ図

--途中からムービーが逆再生になって女子高生が男の子だったことが明らかになる、という演出はどのようにして生まれたのでしょうか?

矢村:今回映像監督をお願いしたTHE DIRECTORS GUILDの柳沢翔監督のアイデアです。彼がメークで変化していくところが映像の中心になるという切り口を提案してくれました。さらに映像的な面白さをプラスするため、監督いわく「世界初の逆再生タイムラプス撮影」を実行することになったんです。

--高度な撮影だったと思いますが、具体的にはどのように制作を進められたのですか?

矢村:実はこれ、逆再生されるシーンは一発撮りなんです。教室の中心をカメラが通るのみで、逆再生したときに自然に見えるように、立ち位置や演出が緻密に構成されています。トータルの撮影時間は7時間以上、メークにかかる時間が1人あたり1時間。出演者、スタッフ含め、全員のタイミングがぴったり合わないと成立しません。「アイメーク、あと30秒!」なんて怒号が鳴る現場でした(笑)。それに、カメラワーク次第では画面内に映り続けてしまうため、3時間くらい静止していなくてはならない出演者もいて。高校生たちはかなり頑張ってくれていたと思います。

--メークはすべて資生堂のメーキャップアーティストが担当されたそうですね。

矢村:そうなんです。それぞれ忙しいので、スケジュールを合わせるだけでも大変でした。でも、彼女たちがいなければ決して実現できなかった企画であることは間違いありません。柳澤監督も「『女装男子』を資生堂がやるから面白い」と仰ってくれましたし、スタッフ一同、資生堂の「本気」を見せたいという思いが強くありました。ムービー公開後は「メークの力ってすごい」という声が多く、Webでバズるだけではなくメッセージもきちんと伝えられたことが嬉しかったですね。

動画でバズらせて終わりではなく、その先の検証が大事

High School Girl? Behind the Scenes メーク女子高生のヒミツ メイキング映像

--その他に、何か工夫された点はありますか?

矢村:実は、通常再生時と逆再生時でいくつか細かい演出の違いを加えています。ヘッドフォンや文庫本、絵などの小物をよく見るとわかるのですが......。Twitterを見ていると、違いを発見された方も何人かいらしたようで驚きました(笑)。こうした細かな仕掛けも、SNSで話題を生むきっかけとなったのかもしれません。

--動画の裏側を見ることができる、特設サイトも用意されたそうですね。

矢村:はい。特設サイトでは、メーキャップの舞台裏や実際に使った商品の詳細が見れたり、登場してくれた高校生たちの顔をメーク前と後でいじって遊べたりするコンテンツを用意しています。動画でバズらせて終わり、ではなく、そこからどんなアクションにつなげられるかを検証することが必要だと思っています。今回の企画で実験的なことに色々チャレンジできたので、この学びを今後の施策につなげていきたいですね。

Credits
Shiseido Creative Division
CD
小助川 雅人
C
島 聡
WebD
矢村 智明
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