美の複合体験施設「S/PARK」がオープン。ロゴやデザインによるブランディング

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資生堂の美の複合体験施設になることを目指して作られた研究施設「資生堂グローバルイノベーションセンター」が、2019年4月にオープンしました。施設の呼称は「S/PARK(エスパーク)」。研究者だけでなく、一般市民にもこの場を解放していくことから、イノベーションが次々と生まれる「スパークする研究所」と、多くの人が集まる「資生堂のパーク(公園)」のふたつの意味が込められています。そうしたパブリックな場として成立させるための、デザイン面での思いを、デザインディレクションとデザインを務めた花原正基さんに伺いました。

グローバル視点を意識してゼロからフォントを作成

--「S/PARK」のデザインをディレクションしていくにあたって、どのような点について意識をしましたか?

花原:「グローバルイノベーションセンター」というくらいなので、世界中の誰もが違和感なくかつ心地よく利用できる施設にするためにはどうしたらいいのか、ということをすごく考えました。その結果がロゴやサインの造形に表れていると思います。空間はもちろん、グラフィック印刷物に至るまで、同じ書体、同じトーンで一気通貫しています。

--この印象的なロゴやサインは、デンマークのデザインオフィス「Kontrapunkt(コントラプンクト)」と手がけているとか。

花原:はい。彼らとは2017年の年末あたりから丸1年かけてフォントをオリジナルで制作しました。それをS/PARKのロゴやサインに使用しています。結果として、デザインの全体的なバランスが取れた施設になったのではないでしょうか。

--日本語がほぼ使用されず、英語がメインになっているのが特徴的ですね。

花原:グローバルを基準にした結果、そういう判断になりました。とはいえ、日本人をはじめとした非ネイティブスピーカーもしっかり理解できるシンプルな英語を使うように心がけています。また、必要なところではもちろん日本語も使用しています。

人のインスピレーションを掻き立てるフォントやロゴ

--どのような着想から、このような形に落ち着いたのでしょうか。

花原:訪れた人のインスピレーションを掻き立てるものにしたいと当初から考えていました。その場だけでは完結せず、続きを想像したくなるようなもの。それをデザインのイメージとして持っていたんです。そこで最初に考えたのが、オーソドックスな資生堂のデザインフィロソフィーを反映していく方向性でした。例えば「資生堂書体」は、100年近く手書きで伝承されている独自の和文ですが、トメ、ハネ、払いにルールがあります。これを欧文にしたらどうなるのか試してみたかったんです。

--完成した文字のでき具合は?

花原:とてもエレガントで、女性らしいデザインになりました。ただ、少しクラシックな印象が強く出てしまいました。今回は、新しい資生堂の姿を見せていく使命があると考えていたのでコンセプトとマッチしませんでした。この頃に「S/PARK」というネーミングがちょうど出始めていたので、今度は「SPARK」という言葉からアイデアを広げていくことに。そして完成したのが、現在使われているロゴです。

--これはどういったイメージなのでしょうか。

花原:これは、美という漢字の一部からインスピレーションを得て、S/PARKの頭文字のSへ発展させたデザインです。日本発で「美」のイノベーションを生む場所という意味を込めました。

S/PARKで展開されているピクトグラム

--文字やロゴだけでなく、ピクトグラムにもこだわりが垣間見れますね。

花原:これもコントラプンクトと一緒に作ったのですが、文字と同様、世界中の誰が見ても違和感なく理解できることを追求しました。ピクトグラムはパッと見た時にすぐに情報が伝わることが大事なので言語ではなくビジュアルコミュニケーションとして成立しているかということを何度も検証しています。

それと同時に、ジェンダーの問題にも踏み込んでいます。この時代において、男女マークのサインをどうするかは非常に悩んだところです。海外を中心に参考事例をかなり見て、最終的な形へと仕上げています。

人との関係性を築いていけるアクティブな場所に

--この「S/PARK」は単なる研究施設ではなく、パブリックに開かれているのも特徴のひとつです。

花原:「S/PARK」には、カフェ、スポーツ施設、ビューティーバー、体験型ミュージアムの4つのコンテンツが備わっていて、こうしたコンテンツに関するメニューやグッズなどもデザインしています。

--とてもユニークな施設になりましたね。どんな場所になってほしいですか?

花原:カフェやスポーツ施設がある研究施設って、僕が知る限りではS/PARK以外にあまりないんですよね。だから、人との関係性を築いていけるようなアクティブな場所になってほしいと思っています。カフェで落ち着いて本を読む。スポーツ施設で汗を流す。ビューティーバーでオンリーワンのパーソナライズ化粧品を体験する。ミュージアム美の発見をする。そのなかで新しい資生堂らしさを感じてもらえると嬉しいです。カフェのメニューは季節毎に変わるほか、ミュージアムも年に4回展示が変わる予定だそうです。カフェのカップやミュージアムショップで販売するグッズなど、デザインの細かいところも見ていただけると、より楽しんでいただけると思います。

ミュージアムグッズ
パンフレット
Credits
Shiseido Creative Division
ECD
信藤 洋二
CD / AD
花原 正基
Web D
矢村 智明
C
マイケル・バーンズ、永岩 亮平
Space AD
岸野 桃子、堀 景祐
Package AD
近藤 香織
Package D
久我 遼祐
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