三人の資生堂クリエーターが真剣勝負! 『ビューティーグラフィックス展2015 “バトル”』

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『ビューティーグラフィックス展2015 "バトル"』メイングラフィック

美しくあろうとすることは、自分を表現するための「バトル」

--『ビューティーグラフィックス展2015 "バトル"』が7月13日から始まったとのことですが、ブランドではなく、資生堂のクリエーターが前に出る展覧会は珍しいですね。

丸橋:『ビューティーグラフィックス展』は、昨年、中村誠(1950〜1980年代にかけて資生堂の広告を数多く手掛けたアートディレクター)の回顧展を行ったときに、若手クリエーターも作品を展示する機会をつくろうということで始まった展覧会です。好評だったため今年も開催することになり、宣伝・デザイン部の中で、専門性を認められた「クリエーティブスペシャリスト」三人に声が掛かりました。

--今回のタイトル、「バトル」にはどのような意味が?

丸橋:普段、広告の仕事で意識している「ビューティー」とは違うものをつくろうと考えてはいましたが、初めは特にテーマを設定していませんでした。ですが、三人でそれぞれ作品をつくるときの手掛かりとしてキーワードが必要だと思い、コピーライターの永岩亮平に打ち合わせに入ってもらうことになって。そのとき、彼から「たとえば、『バトル』はどうか」という意見が出て、その言葉が強く心に引っかかりました。すべての女性たちにとって、美しくあろうとすることはいつだって自分を表現するための戦いではないかと思ったんです。そうした女たちの美しき戦いをユーモラスに描くことで、「資生堂は女性と共に励まし合い、共に歩んでいく」といったメッセージを込めたいと思いました。

--メイングラフィックも、二人の女性がまさに「バトル」を繰り広げているようで印象的ですね。

丸橋:展覧会が決定して、まず初めに資生堂銀座ビル1階のウィンドウディスプレイの作成依頼がきて。展覧会テーマの「バトル」をわかりやすく伝えるにはアクティブな要素を加えたいと思い、蛇腹のように伸縮する作品をつくりました。同時に、髪の毛がつながって、綱引きをしていたら面白いなと思って。BC研のヘアスタイリストに相談したところ、二人の女性がひとつの髪の毛でつながっているアイデアに発展しました。メイングラフィックは、このディスプレイのアイデアがもとになっています。

--この女性二人は、同じ顔をしていますよね?

丸橋:モデルを探していたときに、たまたま別件のオーディションで双子のモデルに出会ったんです。これはぴったりだなと思ってすぐに依頼しました。撮影は長時間髪がつながった状態のまま行うので、赤の他人同士だったら難しかったでしょうね(笑)。双子だからこそ、リアルな絵が撮れたと思っています。

資生堂銀座ビル1階のウィンドウ展示

メーキャップは、「なりたい自分」を肌の上にイメージすること

丸橋桂『vs "IMAGE"』。人物撮影はSATOSHI SAIKUSA氏

--三人のグラフィックについて、それぞれお聞きしたいと思います。丸橋さんは、どんなコンセプトを掲げられたのでしょうか?

丸橋:メーキャップは、「こうなりたい未来の自分」を肌の上にイメージすることだと思ったんです。そこで、僕のテーマは「イメージと戦う」にしました。モノクロの顔写真の上に化粧品を乗せ、女性が「こうなりたい」と思う瞬間の気持ちをコピーで表現しています。

--化粧品は、グラフィックで表現しているのですか?

丸橋:ディテールを見せたかったので、本物の化粧品を一発撮りで収めました。ファンデーションはリキッドをアクリルの板に垂らして撮影しているので、よく見ると歪んでいたり、光の入り方もバラバラです。

--モデルの表情とコピーに、ストーリーを感じますね。

丸橋:このモデルさんは、美人だけど完璧すぎない部分があるから、イメージにぴったりでした。彼女がメーキャップを重ねることで、だんだんと美しくなっていく様子を描いています。

松岡モナとジョンテ・モーニングのコラボレーション。身体から表出する「動き」の美学

--佐藤さんの作品は、モデルの松岡モナさんと、世界的に活躍するアメリカ人ダンサー、ジョンテ・モーニングさんのコラボレーションとのことですね。

佐藤:普段、広告の仕事をしていると、顔をクローズアップして見せることが多いのですが、全身の動きからも美しさを発見する実験がしたいと思ったんです。そこで、「A motion(エー モーション&エモーション)」(心を動かす身体の動き)というテーマで、ジョンテさんと、幼い頃からバレエを習っていて、身のこなしの美しいモナさんにお願いしました。

--幻想的な写真ですね。現場はどんな空気だったのでしょうか?

佐藤:実はモナさんのダンスの先生が、ジョンテさんのバックダンサーをされていたという不思議な縁があり、最初から息がぴったりでした。撮影では、彼らのエネルギーがぶつかり合い圧巻でした。モナさんは、無垢であり、強くもあり、表現が魅力的ですし、ジョンテさんの動きは素晴らしいキレのよさと美しさで、夢を見ているようでした。フォトグラファーには、テクニックをうまく駆使した作品を撮られている鏑木穣さんにお願いし、アイデアをいただきました。体にレーザーを当てたり、トランポリンに乗ってもらったり、ときには音楽に身を委ねてもらったり。1600枚以上の写真を撮ったのですが、たくさんの人に迷惑をかけるくらい悩みましたね。映像の監督は藤安広人さん。クラウチングスタートやハードル走などのポーズで、古代オリンピックをイメージしました。ジョンテさん、モナさんのアクティブな美しさがあらわせたと思ってます。

佐藤園美『A MOTION』。衣装は広田聡氏に依頼。バトルらしく戦士風に。レタッチは上村亮太氏。動きのインパクトと繊細さの両方を再現。
ムービーイメージショット
ムービーイメージショット
山田尊康『A GIRL 20×× SHISEIDO』

--山田さんのビジュアルは、とてもSF的ですね。

山田:自分が未来に向かって戦うイメージを考えたとき、「未来のメーキャップ」というアイデアが浮かんだんです。もともとSF的世界が好きだということもあるんですが、これからはもっと自由なメークが可能になるんじゃないかなって。100年前までは、日本に「お歯黒」の文化があった。だったら、LEDライトでカラフルに光る歯があってもいいんじゃないかと思って、そこからアイデアを広げていきました。今はプリンタ技術の性能も非常に高くなっているので、自分の好きな画像をプリントできるアイシャドーができたら面白いな、とか。

--耳にも何か施されていますが、これはどんなイメージが?

山田:これは、「音を肌で感じる」ことをイメージしました。3Dプリンタでつくった電子基板を耳の皮膚に塗布して埋め込むことで、メークの延長上として音を選ぶような感じでしょうか。こうしたアイデアには、資生堂はまだ誰も見たことがないようなプロダクトを開発できるのではないか、という思いを込めています。美しさを追求する資生堂だからこそ、未来の美の価値観をつくるプロダクトがきっと生み出せるはず。そのプロトタイプを作品で表現しています。

Credits
BEAUTY BATTLE
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丸橋 桂
C
永岩 亮平
PH
金澤 正人
Vs "Image"
AD
丸橋 桂
C
近森 未来
PH
伊東 祥太郎
A motion
AD
佐藤 園美
A GIRL 20×× SHISEIDO
AD
山田 尊康
PH
金澤 正人
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