
--2015年のダイレクトメール(以下DM)は、移り変わる季節の彩りを写真とコピーで表現していますね。
廣川:毎月、化粧品専門店・ドラッグストア・GMSを中心とした得意先を通じて、季節ごとのおすすめ商品をお伝えしているDMのカバーデザインは、2年ごとにADがかわり、個々の表現の場になっています。
--2015年はどんなテーマで進められたのでしょうか。
廣川:空気を感じる遠景と、香り立つようなディティールにフォーカスした素材を組み合わせて、心地良い四季の空気や温度を感じていただきたいという思いを込めて制作しています。
--毎月のテーマはどのように決めていたのでしょうか。
廣川:季節の温度と空気を感じるカバーデザインをテーマに、たとえば5月は鮮やかになる緑が印象的な景色を、10月は少し肌寒く乾燥し始める空気を感じる景色を探し、1年を通じて全体のカラーリングを考慮しながら決めています。
橋口:コピーに関しては、まず、写真が描いているシーンと季節毎の化粧情報をリンクさせる「ストーリーづくり」から考えています。この仕事だけに限りませんが、数秒でも、数十秒でも、毎日の限られた時間の中から、このコピーを読む時間を割いてくれたお客さまに感謝する気持ちを大事にしています。そのお返しとして、「そうそう、そういうことあるよね」「新しい発見だな」など、お客さまに共感や気づきを残せるように、毎回工夫しています。
--撮影はどのように進められたのでしょうか。
廣川:12か月並べたときに、バランス良く鮮やかな季節の色が表現できるように景色を洗い出しました。場所は日本の国内に限定し、特徴的な景色や地形を探しました。大地が映り空が抜けている構図を基本として、それが成立する景色をピックアップ。そこから入稿時期に撮影可能かどうかを確認し、ときには撮影計画を前後させ、時期・時間・天気・スケジュールと相談しながら進めました。毎度限られた時間の中で、深夜2時集合で星空、明け方4時に朝日、日中青空ねらいと、撮影はほぼ24時間体勢で空を睨んでいました。
伊東:撮影地はコーディネーターさんに探してもらうこともあれば、自分たちがプライベートで見つけた景色を参考にすることもありました。私がバイクで全国を走ったときに見つけた景色など、チーム内の興味がうまく重なった仕事と言えるかもしれませんね。
--この景色に人物がいるかいないかで印象がだいぶ変わりますね。
廣川:人物は、目的に向かって前向きに歩いている女性などをイメージしています。彼女らに気持ちを重ねていただけたら、という気持ちで設定しています。
橋口:人物以外にも、鳥などの動物が写り込んでいることもあるので、コピーもそれぞれの登場人物に合わせて書き分けました。
--撮影時の苦労はありましたか。
伊東:実際に行ってみると抜けのあるスポットがなかなか見つからなかったり、天気との相談だったりと、撮影現場はいつも一発勝負でした。毎回、まったく違う場所の絵を同じトーンで統一させるのが大変でしたね。
廣川:一瞬の季節を捕まえ、DMの四角形におさめることに尽力しました。心地良い四季の空気や温度を感じ、変わりゆく季節を楽しみながら、化粧・肌のお手入れを楽しんでいただければと思います。